こんにちはmasayaです。
NY商業取引所で原油価格となる米国産WTI原油の先物価格がなんと
『1バレル=-37.63ドル』と市場初めてマイナス価格で終了しました。
コロナの影響によって原油が供給過剰になっています。
今回は、WTI原油の先物価格が急落して人類史上初のマイナス値になった話をご紹介します。
原油価格がマイナスになるのは人類史上初!!
原油価格がマイナスになる逆オイルショックが起きました。これは人類史上初のことになります。
以下は本文の引用文になります。
週明け20日の米ニューヨーク商業取引所で、
原油価格の指標となる米国産WTI原油の先物価格(5月物)が1バレル=マイナス37・63ドルと、
史上初めてマイナス価格で取引を終えた。
新型コロナウイルスを抑え込む対策で世界経済が停滞。
エネルギー需要の急減で原油供給が過剰になっており、原油を貯蔵するスペースが限界に達しつつある。
前週末の終値(1バレル=18・27ドル)からは55・90ドル幅もの急落となる。
取引時間中に一時、1バレル=マイナス40ドル超まで低下した。
マイナス価格は、原油の売り手が、通常とは逆に買い手にお金を払って引き取ってもらうことを意味する。
原油価格が第一次オイルショック以前の前の水準に下がっています。
今回は、逆オイルショックについてご紹介したいと思います。
原油先物とはどんなものなのか?
『原油=中東』というイメージが根強いですが、この認識は正しくありません。
現在世界で最も原油を生産しているのは『米国』です。
サウジアラビアは2013年まではトップの生産量を誇っていましたが、
米国でシェールオイルの開発が進んだことによってトップの座を明け渡しています。
原油先物とは『原油先物を購入して先物満期まで保有した場合その価格で買ったことが保証』されます。
買ったあとに上がれば利益ですし、下がれば損失になります。
そして、先物の売り手が買い手に事前に指定された規格の原油が届けられます。
品質や受渡し場所も決まっており、これを『現物受渡し決済』と呼びます。
先物取引には『限月(げんげつ)』というものが存在します。
これは、その日に取引を終了して受渡しは現物になります。(今回の場合)
今回のWTI現物先物が5月限月なのですが、先物は『4月21日(アメリカ東部時間)が最終取引日』になっています。
現物先物は現物決済なので、実際に受け渡しする日よりも事前に先物を終了させておかなければ準備ができません。
受渡し場所になるアメリカのオクラホマ州のクッシングという場所には『9000万バレル』の貯蔵タンクがあり、
パイプラインも周辺の州へと繋がっています。
現物を持っている商社が、価格リスクをヘッジするために先物をショートしたりします。
原油価格がマイナスというのはどういうことなのか?
原油価格がマイナスというのはどういうことなのかですが、
原油の売り手が通常とは逆に『買い手にお金を払って引き取ってもらうこと』を意味しています。
つまり『原油の現物』と『お金』がもらえるということです。
なぜ、原油価格がマイナスになっているのかというと以下の理由が考えられます。
・米国で原油在庫が積み上がっており貯蔵能力の限界に達した
世界的に原油や石油余っており、石油タンクもタンカーも満杯であり、
誰も余分な石油を受け取ることができないことによってマイナスが生じました。
原油精製施設は止められず一時保管タンクも限りがあるので『損失を覚悟して原油を売る必要』が出てくるわけです。
原油売り手がお金を払い、買い手に原油をお金を払って買ってもらう方がまだ損を小さくできるからです。
消費国は安価にエネルギーを手に入れることができ、本来であれば原油価格の下落は経済が活性化に繋がります。
経済的に考えると、原油価格の下落によって日本が受けるメリットは極めて大きいです。
中には、原油を掘るのを一旦止めるたらいいのでは?ということを言う人もいますが、
原油を掘るのを一旦止めると、また掘り出す方がお金がかかります。
原油は湧き水のように湧いてくるものであり、そもそも供給量を減らすことができないのです。
逆オイルショックによってガソリンや灯油は安くなるのか?
逆オイルショックによってガソリンや灯油は安くなるのかですが多少は安くなります。
しかし、只同然のような料金になることはありません。
これは、川から流れている水は只なのに水道やペットボトルに詰めると有料になりますし、
購入すると消費税が付き、事業であれば法人税が付きます。ガソリンにも当然税金が発生します。
ガソリンには以下の税金が発生します。
・石油石炭税
・温暖化対策税
・消費税
ガソリンに上記の税金が1ℓあたりに対して『57.36円』発生するので、それより下がらないわけです。
逆オイルショックによる金融危機は起きるのか?
逆オイルショックによる金融危機は起きるのかですが、すでに米シェール企業ホワイティング経営破綻しています。
[1日 ロイター] – 米シェールオイル生産のホワイティング・ペトロリアム<WLL.N>は1日、
米連邦破産法第11条(民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。
原油相場の急落による上場企業の破綻は初めて。
→https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200402-00000010-reut-bus_all
おそらく今後もシェール企業の倒産は相次ぐ可能性が高いです。
しかし、マイナスになったのは5月原付きの価格です。
それ以降の限月の価格を見ると価格は多少は上がっています。
→https://www.cmegroup.com/trading/energy/crude-oil/light-sweet-crude_quotes_globex.html
今回の5月物がマイナス価格で取引されたことは、
コロナ外出禁止で需要が減り、サウジアラビアとロシアの交渉決裂などの
通常とは異なる要因が重なったことによるものです。
ですので、個人的にはそこまで不安になることは無いかなと思っています。
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